投稿日:2026.04.13 最終更新日:2026.04.13
【どこまでバレる?】税務調査では何を見られる?「個人 or 法人」の違いも併せて解説!
当社でも「税務調査の通知が届いた」というお客様から、
- 帳簿は見られると聞いたが、個人の口座まで調べられるの…?
- 何年前まで遡るの…?
といった内容のご質問をよくいただきます。
本記事では実際に税務調査の連絡が来た際に知っておきたい『何を?』『どこまで?』に、わかりやすく回答していきます!
- 調査対象となる書類・資料の種類
- 遡及年数の判断基準
- 個人口座・家族名義口座が調査対象になる条件
- 法人が指摘されやすいポイントと対策
- 個人事業主が指摘されやすいポイントと対策
南 彰悟
1986年3月6日生まれ。大分県出身。早稲田大学を卒業後、25歳で公認会計士試験に合格。大手監査法人に8年程勤める。2020年税理士登録。イデア総研税理士法人の副代表として活動する。
そもそも:「税務調査」って何をチェックするもの?

税務調査とは、国税局や税務署の職員が『税務に関する申告内容の正確性』を確認するために行う調査です。
「国税通則法に基づく質問検査権を行使して行う任意調査」として、税務職員が帳簿書類その他の物件を検査し、提示を求めることができます。
「任意調査」という言葉から「断れる」と思われがちですが、正当な理由なく拒否した場合には罰則が科される可能性もある厳密な調査です。
調査方法は大きく2種類で、職員が直接事業所へ出向く実地調査と、電話や書面・来署依頼といった実地以外の調査に分かれます。
毎年必ず来るわけではありませんが、申告内容や業種・取引形態によって対象になりやすさは大きく異なります。
令和4事務年度(最新の調査実績)の実地調査件数は法人約5万4千件で、同年度の申告件数約310万件と比較すると実調率は約1.7%です。
100社に1〜2社が対象になる計算ですが、不正が疑われる申告内容や現金取引の多い業種では優先的に抽出される傾向があります。
出典:国税庁|令和6事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要
税務調査はどこまで調べられるの?

税務調査で調べられる基本的な範囲は「事業に関連するすべての書類・データ」です。
これは国税通則法上の質問検査権に基づくもので、税務職員が「その者の事業に関する帳簿書類その他の物件」の検査・提示を求めることができると定められています。
ただし、法人と個人事業主では調査の境界が少し異なります。
それぞれの特徴を確認しておきましょう。
法人の場合…「会計処理の適正性」がメイン
法人の税務調査では、法人税・消費税・源泉所得税・印紙税など複数の税目が同時に確認されるケースが非常に多くあります。調査の重点は「会計処理が税法のルールを守っているか」という点。
よく見られる点は次の3つです。
- 役員報酬・役員賞与の決め方
- 関連会社や親族企業との取引
- 期末の在庫(棚卸)の調整
役員報酬・役員賞与の決め方では、定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与のいずれかの要件を満たさなければ損金算入が認められません。届出の有無や変更のタイミングが、指摘の起点になりやすい点です。
次に関連会社や親族企業との取引です。グループ内や親族間の売買・サービス取引は、価格が恣意的に設定されていないかという観点から確認されます。通常の取引価格と大きくかけ離れている場合は、利益の付け替えとみなされることがあります。
また期末の在庫(棚卸)の調整も確認対象です。利益を圧縮するために在庫を過大に計上したり、逆に意図的に少なく申告したりするケースは典型的な指摘事項の一つです。
個人事業主の場合…「生活費」と「経費」の区別がメイン
個人事業主の調査対象は所得税と消費税が中心です。
重点は「プライベートの支出が、経費に混入していないか」という公私の区別にあります。
よく見られる点は次の3つです。
- 家事按分(自宅・車・光熱費)
- 家族への給料(専従者給与)
- 現金売上の計上漏れ
家事按分では、自宅兼事務所の家賃・光熱費・車両費を経費として計上している場合、事業での利用割合が実態に即しているかが問われます。感覚的な割合ではなく、面積・時間・走行距離などの客観的な記録が根拠として求められます。
次に家族への給料(専従者給与)です。配偶者や家族を従業員として給与を支払っている場合、実際に業務に従事しているか、金額が業務内容に見合っているかが確認されます。実態のない給与は経費として認められません。
また現金売上の計上漏れも見られやすい項目です。キャッシュレス化が進む一方、現金で受け取った売上が帳簿に記録されていないケースは依然として指摘されやすく、現金出納帳の整備状況が調査の入り口になることがあります。
どんな書類・資料が確認される?

税務調査で調べられる書類は多岐にわたります。
書類名を知っているだけでなく、「税務署がその書類で何を確認しようとしているのか」を理解しておくと、日ごろの記帳整備への意識も変わります。
まず把握しておきたい、税務調査で確認される書類一覧
税務調査でまず確認されるのが帳簿類と通帳です。
法人は「確定申告書の提出期限の翌日から7年間」(欠損金等が生じた事業年度は10年間)の保存が義務付けられています。
保存が必要な書類の範囲は幅広く、帳簿だけでなく取引の証拠となる書類も対象です。
- 総勘定元帳
- 仕訳帳
- 現金出納帳
- 固定資産台帳
- 売掛金元帳
- 買掛金元帳
- 売上帳
- 仕入帳
- 賃金台帳
- 棚卸表
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 通帳
- 預金明細
- 領収書
- 請求書
- 契約書
- 見積書
- 納品書
個人事業主(青色申告)も、法人と同様に帳簿・書類の両方が保存対象です。法人と比べると種類はやや少ないですが、確認される範囲は事業に関わるものすべてに及びます。
- 総勘定元帳
- 仕訳帳
- 現金出納帳
- 固定資産台帳
- 売掛帳
- 買掛帳
- 経費帳
- 通帳
- 預金明細
- 領収書
- 請求書
- 契約書
- 見積書
- 納品書
「帳簿だけ見られる」と思われがちですが、上記のリストを見るとわかるとおり、通帳・預金明細も必ず確認されます。
申告した売上と実際の入金額が一致しているかを照合するためで、帳簿に載っていない入金が見つかると売上除外として問題になります。
法人調査では賃金台帳も確認対象です。源泉徴収の漏れや架空の人件費計上がないかを確認するために使われます。給与・外注費の支払記録は、源泉所得税の観点からも調査の対象になりやすい書類です。
証憑書類で見られるのは「取引の実在性」
帳簿類の確認と並行して、取引の証拠となる証憑書類も必ず確認されます。なかでも特に確認されやすいのは、金額の大きい取引や経費として計上した項目に紐づく書類です。
請求書・領収書・契約書・注文書・見積書・納品書などが対象になります。
- 領収書・請求書:経費計上した支出が実際に事業に使われたものかの裏付け
- 契約書:取引の実態があるか、架空取引でないかの確認
- 見積書・納品書:取引の一連の流れが整合しているかの確認
これらは紙の書類だけでなく、電子データも保存対象です。電子帳簿保存法の改正により、2024年1月以降は電子取引データを「データのまま保存すること」が義務化されました。
メール・クラウドサービス経由で送受信した請求書・領収書も保存対象となり、印刷・紙保管だけでは対応できません。
改ざん防止措置と検索機能(日付・金額・取引先)の確保が必要です(※売上高5,000万円以下の事業者などは検索機能の確保が不要となる免除規定もあります)。
対応策として、索引簿(表計算ソフト)を作成して管理する方法も認められています。
メール・SNS投稿、「削除ファイル」が調査対象になるケースも…
近年、デジタル上の記録も調査対象となっています。SNS投稿は、たとえば飲食代を事業用経費として計上していたのに、SNSに「友人とのプライベートな食事」と投稿していた場合、それが矛盾の証拠として使われることがあります。
チャット・メール履歴は、取引の合意内容や指示のやり取りが取引実態の証拠として確認されます。
- SNS投稿
- チャット・メール履歴
- 削除データ
削除データについては、「消せば大丈夫」という認識は通用しませんのでぜひ覚えておいてください。
「何年前までチェックされるの…?」について

税務調査で遡る(さかのぼる)期間は、法律上の原則や実務上の慣例として「3年」「5年」「7年」「10年」があります。
まず全体像を確認しましょう。
| 状況 | 遡及年数 | 主なケース |
|---|---|---|
| 通常(問題なし) | 3年 | 実務上の一般的な調査範囲(特に問題がない場合) |
| 申告漏れ・無申告 | 5年 | 申告漏れや無申告がある場合 |
| 隠ぺい・仮装(不正) | 7年 | 隠ぺいや仮装(不正)がある場合(二重帳簿、売上除外など) |
| 赤字の繰越がある | 10年 | 純損失(赤字)の繰越がある場合 |
特に注視される「7年/10年の遡りがあるケース」について詳しく解説していきます。
7年遡及…「隠ぺい・仮装」の可能性がある場合
「偽りその他不正の行為」により税額を免れた場合、または純損失等の金額を過大にした場合は、7年まで遡られる可能性があります。
「意図的かどうか」ではなく、「隠ぺい・仮装という具体的な行為があったか」が判断の基準です。二重帳簿・売上除外・架空経費の計上・証拠書類の改ざんや破棄などが該当します。
10年遡及…赤字(純損失)を繰り越している場合
赤字(純損失)を翌年以降に繰り越している場合、調査できる期間も10年まで延びる規定があります。「不正がひどかったから10年」ではなく、純損失の繰越期間との整合から生じる別軸の規定です。
調査が取引先にまで及ぶことがある「反面調査」とは

税務調査の範囲は、調査対象の事業者だけにとどまらない場合があります。調査官が、取引の実態を確認するために取引先・金融機関・外注先などに直接問い合わせを行うことを反面調査といいます。
反面調査は、調査対象者の帳簿や申告内容だけでは取引の実態が確認できない場合に行われます。
たとえば、多額の外注費を計上しているのに請求書が不自然だった場合、調査官がその外注先に直接連絡を取って取引の有無を確認することがあります。
架空取引や売上の除外が疑われる場面でも、取引先への照会が行われることがあります。申告内容と取引先側の記録が一致しているかどうかが確認されます。
反面調査が行われると、取引先に「税務調査を受けている」という事実が伝わることになります。取引先との信頼関係や取引継続に影響が出るケースもあるため、調査対象になった際には税理士と対応方針を相談しておくことが重要です。
なお、反面調査はあくまで必要性がある場合に限られており、すべての調査で実施されるわけではありません。調査官が任意で実施するものですが、拒否することはできません。
まとめ:税務管理に不安があれば「顧問税理士」への依頼も検討しましょう
本記事では『税務調査時の調査対象』について詳しく解説してきました。
しかし日々の税務において本当に大切なのは、そもそも税務調査の対象にならないよう、正しい手続きで税務処理を行うことです。
また調査内容を理解したとしても、実際に一人で対応しきれるかどうかは別の話です。「当日に何を聞かれるか」「どこまで答えればよいか」「修正申告は本当に必要か」まで。
こうした判断は、経験のある税理士がそばにいるかどうかで大きく変わります。
イデア総研税理士法人では、税務調査対応の知見をもとに事前通知から事後対応まで一貫してサポートいたします。
また当社では税務調査のような形式だった審査への対応だけでなく、『経営のパートナーであること』こそ、税務顧問としてあるべき姿だと考えています。
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