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個人事業主のふるさと納税|3つのメリットと上限額の考え方、注意点を解説

個人事業主のふるさと納税|3つのメリットと上限額の考え方、注意点を解説 | その他

「ふるさと納税は得だと聞くけれど、具体的に何が得なのかよく分からない」
「会社員向けの説明ばかりで、自分に当てはまるのか判断できない」

個人事業主の方から、こうしたお悩みをお聞きすることがありますが、「よく分からない」という理由でやっていない方は多いのです。

しかし、実は個人事業主の方にとってふるさと納税は、使わないともったいない制度です。そこでこの記事では、会社員との違いや、損をしないための進め方をまとめました。

この記事でわかること

  • 個人事業主ならではの3つのメリット
  • 自分がいくらまで寄附できるか、上限額の目安と調べ方
  • ふるさと納税で損しないために知っておくべき2つの注意点
  • 年末まで待たずに早めに動いたほうがいい理由
  • 寄附したお金を帳簿上どう処理すればいいか
この記事を書いた人
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南 彰悟

1986年3月6日生まれ。大分県出身。早稲田大学を卒業後、25歳で公認会計士試験に合格。大手監査法人に8年程勤める。2020年税理士登録。イデア総研税理士法人の副代表として活動する。

個人事業主がふるさと納税を活用する3つのメリット

そもそもふるさと納税とは、応援したい自治体にお金を寄附できる制度です。寄附した金額から2,000円を引いた分だけ、所得税・住民税が安くなります。

さらに、寄附先の自治体からはお礼として返礼品が届きます。つまり、実質2,000円の負担で返礼品が手に入る仕組みです。

ふるさと納税は「やらないと損」です。個人事業主には、会社員とは違う3つのメリットがあるからです。

経費や控除の使い方次第で、寄附できる枠を自分でコントロールできる

ふるさと納税で寄附できる上限額は、その人が納める住民税の額をもとに決まります。住民税を多く納めている人ほど、たくさん寄附できる仕組みです。

ここが会社員との違いです。会社員の年収はほぼ決まっていますが、個人事業主は経費の計上や各種控除の使い方によって、課税される所得が変わります。つまり、寄附できる枠も一定ではありません。

経費や控除が少なければ所得が大きくなり、寄附枠も広がります。逆に、小規模企業共済や青色申告特別控除をしっかり使えば税金そのものが安くなる代わりに、寄附枠は小さくなります。

どちらが良いという話ではなく、「自分の枠は毎年変わる」という前提を持つことが大切です。具体的な枠の確かめ方は後述します。

確定申告の「寄附金控除」に記入するだけで、何件でも一括で申請できる

個人事業主は毎年確定申告を行います。その確定申告書の「寄附金控除」の欄に、ふるさと納税の分を書き込むだけで手続きは完結します。

ここで「ワンストップ特例が使えないから面倒」と感じる方もいるはずです。ワンストップ特例は、確定申告をしない会社員などが寄附先5団体以内のときだけ使える簡易的な申請方法であり、毎年確定申告をする個人事業主は対象外となっています。

ただ、実際はむしろ逆で、確定申告のほうが自由度は高くなります。なぜなら、確定申告で申請する場合、寄附する自治体の数に上限がないからです。

何件寄附しても、やることは次の3つだけです。

  1. 寄附後に届く受領証明書をまとめておく(確定申告書に添付します)
  2. 確定申告書の「寄附金控除」の欄に記入する
  3. そのまま申告書を提出する

毎年確定申告をする個人事業主にとって、これは手間が増えないどころか、寄附先を自由に選べるというメリットになります。

出典:No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)|国税庁

日用品や食材などの返礼品で、毎月の生活費を実質削減できる

返礼品といえば豪華な食材のイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。ティッシュやトイレットペーパーといった日用品、毎日飲むお茶や水なども選べます。

実質2,000円の負担で、毎月必ずかかる生活費や消耗品費を浮かせることができます。「よく分からないから」と敬遠していると、毎年このメリットを逃していることになります。

これは個人事業主に限った話ではなく、会社員でも同じように活用できるメリットです。ただ、忙しくてつい後回しにしがちな個人事業主の方こそ、まずここから始めてみる価値があります。

個人事業主はいくらまで寄附できる?上限額の目安と調べ方


では、実際にいくらまでなら実質2,000円の負担で済むのでしょうか。目安の考え方と、自分の数字での概算方法を見ていきましょう。

住民税の所得割額の約20%が、上限額を考える際の目安になる

ふるさと納税の控除は、所得税と住民税の両方から受けられます。このうち住民税の特例控除には「所得割額の20%」という上限があり、これが上限額を把握するときの目安になります。

所得割額とは、住民税のうち所得の大きさに応じて決まる部分のこと。上限額は毎年の所得によって上下する点も覚えておいてください。

住民税の所得割額ごとの目安は、次のとおりです。

住民税の所得割額 住民税の特例控除の上限額
10万円 約2万円
20万円 約4万円
30万円 約6万円
50万円 約10万円

いずれも概算です。実際に自己負担2,000円で寄附できる上限額は、所得税率によって表の金額より高くなります。「自分の場合いくらまで寄附できるか」は、税理士に確認するのが確実です。

出典:税金の控除について – ふるさと納税のしくみ – 総務省

出典:No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)|国税庁

上限額を自分の数字で概算する手順

自分の場合いくらになるのか、以下の2ステップで概算できます。

  1. 住民税の所得割額を確認する
    毎年6月ごろに届く住民税の決定通知書(課税明細書)に「所得割額」として記載されています。手元に見つからない場合は、前年の確定申告書の控えで課税所得を確認し、そこから見当をつける方法もあります。
  2. 所得割額に20%をかける
    所得割額が30万円なら、住民税の特例控除の上限額は約6万円です。実際に自己負担2,000円で寄附できる上限額は、所得税率によってこれより高くなります。

ここで一つ注意があります。「事業所得500万円なら〇〇円」という一律の答えは、実は出せません。同じ所得でも、家族構成や社会保険料、生命保険料控除などによって上限額が変わるからです。

実際、ふるさと納税のポータルサイトの早見表を見比べると、同じ「事業所得500万円・独身」という前提なのに、2倍以上違う金額が載っていることもあります。

おおよその金額を把握するなら、ポータルサイトのシミュレーターが便利です。ただ、事業所得のある方は所得の見込みが年末まで変動するため、シミュレーターの結果もあくまで目安にとどまります。

自分の試算が状況に合っているか確かめたい場合は、確定申告を任せている税理士に一度見てもらうのが確実です

返礼品の合計が年間50万円を超えると「一時所得」の対象になる

寄附できる枠が大きいこと自体はありがたいのですが、一つ気をつけておきたいことがあります。受け取った返礼品の価値の合計が年間50万円を超えると、超えた分に税金がかかる場合があるのです。

返礼品は税金の世界では「一時所得」として扱われます。一時所得には最高50万円の特別控除があるため、ほかに一時所得がなく、その年に受け取った返礼品の価値がこの範囲に収まっていれば、原則として課税されません。超えた場合は、超えた分の半額が他の所得と合算されて課税対象になります。

ここでいう50万円は、寄附した金額ではなく受け取った返礼品そのものの価値の合計です。枠が広く、返礼品をたくさん受け取りそうな年は、この点も頭の片隅に置いておいてください。

出典:No.1490 一時所得|国税庁

出典:ふるさと納税の返礼品の収入計上時期|国税庁(質疑応答事例)

個人事業主がふるさと納税で損しないための2つの注意点

メリットの裏には見落としがちなポイントもあります。安心して活用するために、つまずきやすい2つの注意点を確認しておきましょう。

ふるさと納税は「節税」ではない|青色申告特別控除の額によって寄附枠も変わる

ふるさと納税は、税金そのものが安くなる「節税」ではありません。支払先を変えて返礼品を受け取る仕組みであり、必ず2,000円の自己負担が発生します

また、個人事業主ならではの注意点として、青色申告特別控除の金額は、ふるさと納税の上限額にも影響します。控除額が大きいほど所得と住民税が下がり、そのぶん寄附できる枠も小さくなるからです。

これ自体は悪い話ではありません。控除が大きいほど税金そのものは安くなるからです。ただ「去年と同じ枠があるはず」と思い込むと計算が変わってしまうため、控除額が変わった年は上限額も見直しておきましょう。

この青色申告特別控除は、令和9年分から金額と要件が変わります(令和8年度税制改正、令和8年3月31日成立)。現行制度の内容や変更点は、以下の記事で詳しく解説しています。

出典:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

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青色申告の75万円控除は令和9年から|紙申告のままでは10万円に大幅減少

「青色申告の控除が変わるって聞いたけど、自分は何かしないといけないの?」 そう不安に思っている個人事業主やフリーランスの方もいるのではないでしょうか。 令和8年度税制改正により、青色申告特別控除の最大額は75万円に引き上げられます。しかし、これは「誰でも自動的に増える」わけではありません。むしろ、

年末まで所得が確定しないため、控除上限額を超えるリスクがある

会社員なら年収はおおよそ決まっていますが、個人事業主の所得は年内の売上と経費の動き次第で、年末まで確定しません。これが一番の悩みどころです。

「12月まで待てば正確な数字が分かるのでは」と考えがちですが、12月の時点でも決算は締まっていません。結局は推測で計算することになるため、待つメリットはあまりありません。

ふるさと納税は寄附という「支出」が先に出て、税金が「控除」されるのは翌年以降です。所得が読めないまま多めに寄附して上限を超えれば、その分は自己負担が増えるだけで、手元の資金を減らしてしまいます

所得が読めないという難しさは避けられません。だからこそ、それを前提にした進め方が必要になります。

所得が未確定でも、年末まで待たずに動いたほうがいい2つの理由

12月まで待つ意味が薄いのであれば、いつ動くべきでしょうか。実は、早めに動くこと自体に大きなメリットがあります。返礼品の基準変更というタイムリミットが迫っていることに加え、年末にまとめて寄附すると、思わぬ失敗を招きやすいからです。

令和8年10月の基準変更で、選べる返礼品が減る可能性があるから

令和8年10月から返礼品の基準(地場産品基準など)が明確化される予定です。これにより、これまで選べていた返礼品の一部が対象外になったり、同じ返礼品でも必要な寄附金額が上がったりする可能性があります。

今欲しいと思っている返礼品が、10月以降も同じように選べるとは限りません。基準が変わる前の9月中に、一度確認しておくことをおすすめします。

出典:ふるさと納税の返礼品等に関する基準の改正について|総務省

返礼品の到着と寄附の支出を分散できるから

12月に慌てて一括で寄附をした結果、「年末年始に返礼品が集中して届いてしまい、冷蔵庫に入りきらない」「食べきれない」といった事態になることも。

そこでおすすめしたいのが、「早めに上限額を概算し、その範囲内で寄附して、年末に残りを調整する」という二段構えの進め方です。手順は次の通りです。

  1. 今年の売上と経費の途中経過(または前年の所得)から上限額を概算する
  2. 概算の80〜90%程度に抑えて、早めに寄附を始める
  3. 年末に見通しが固まったら上限額を再確認し、残った枠で追加寄附する

この進め方なら、返礼品が届くタイミングを分散できます。寄附の支払い時期も分散できるため、資金繰りへの影響を抑えられます。また、あらかじめ80〜90%に抑えて始めておけば、年末に所得が下振れしても上限を超えるリスクも減ります。

自分の場合の概算がいくらになるか迷うときは、一度専門家に相談しながら進めると安心です。

ふるさと納税は経費にできない!事業用口座で支払ったら「事業主貸」で処理

ふるさと納税で寄附したお金は、事業の「必要経費」にはなりません。あくまで個人の税金から差し引かれる「寄附金控除」だからです。

事業用の口座やクレジットカードで支払った場合は、帳簿上では「事業主貸」という勘定科目で処理します。事業主貸とは、事業のお金をプライベートの支払いに使ったときに使う科目です。記帳の仕方に迷ったときは、税務顧問に確認するのが一番確実です。

まとめ:上限額の早めの概算と年末の見直しで、個人事業主もふるさと納税を活用しよう

この記事のポイント

  • 個人事業主ならではのメリットは「上限額・手続き・生活費削減」の3つ
  • 「節税」ではなく税金の支払先を変える仕組み。必ず2,000円の負担が発生する
  • 上限額を考える目安は住民税の所得割額の約20%、所得割額は住民税の決定通知書で確認できる
  • 所得が年末まで確定しない個人事業主は、早めにざっくり決めて年末に見直す二段構えが現実的
  • 寄附は事業の経費にはならない。事業用口座で払った場合は「事業主貸」で記帳する

個人事業主にとってふるさと納税は、給与所得控除がない分だけ寄附の枠が大きくなりやすく、確定申告のついでに手続きができ、返礼品で生活費も浮かせられる制度です。よく分からないまま放置していると、毎年もったいないことになってしまいます。

とはいえ、「自分の場合はいくらまで寄附していいのか」「年末の見直しはどう判断すればいいのか」で迷われる方は多いはずです。

イデア総研税理士法人は、顧問先950社以上の事務所です。税理士・公認会計士・社会保険労務士・行政書士・中小企業診断士など多数の国家資格者が在籍しています。初回60分の無料相談も承っていますので、寄附額の見立てや年末の見直しについて、まずはお気軽にご相談ください。

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