投稿日:2026.01.05 最終更新日:2026.01.05
税理士変更に「必要な書類」とは?返却依頼から再発行まで完全ガイド!
税理士変更を決めたものの、「新税理士に何を渡せばいいのか…」「書類が足りなかったらどうしよう…」と不安に感じていませんか。
実は、税理士変更の引継ぎでは旧税理士と新税理士が直接やり取りすることはほとんどなく、依頼者自身が書類を準備して渡す必要があります。
書類に不備があると、新税理士が業務を開始できず、申告ミスや遅延につながる可能性があります。
この記事では、税理士変更で必要な書類を9つのカテゴリに分けて解説し、書類が見つからない場合の再発行の方法やトラブル対処法まで、実務ですぐに使える情報をお伝えします!
- 税理士変更で必要な書類の全リスト
- 各書類が必要な理由と準備すべき期間
- 書類紛失時の再発行の方法と代替策
- 法人/個人、会計ソフト変更などケース別の注意点
- 旧税理士が書類を返してくれない場合の対処法
南 彰悟
1986年3月6日生まれ。大分県出身。早稲田大学を卒業後、25歳で公認会計士試験に合格。大手監査法人に8年程勤める。2020年税理士登録。イデア総研税理士法人の副代表として活動する。
書類準備がマストなのは、「新・旧税理士でのやり取り」がないから!

まず大前提、税理士変更というのは旧税理士と新税理士が直接やり取りして引き継ぐケースは“ほぼありません”。
つまり依頼者であるあなた自身が資料を準備して渡す必要があるということ。
書類に不備があると、新税理士は前年度の状況を把握できず、申告業務に遅れやミスが生じる可能性があります。
過去の申告内容や経理処理の方針が分からないと、新税理士は推測で処理せざるを得ず、誤った申告や二重計上などのミスにつながりかねません。
必要書類がないと、税務署などに「書類を出せない…」というケースも
書類が揃っていないと、万が一税務調査などになった場合に、“過去の取引根拠を示せず不利になる”ことも考えられます。
一方で、必要書類が完備されていれば、新税理士はすぐに業務を開始でき、適切な経営アドバイスも行えます。
税理士変更を行う際、「どうやって探そう」「解約・契約はいつ行おう」ということに目が行きがちですが、まずは『必要書類は完璧に揃えられるだろうか』という部分を考慮しておくことが、スムーズな税理士変更の出発点となります。
【本題】税理士変更で必要「9つの書類」を解説!

税理士変更では、さまざまな書類を準備する必要があります。必要な書類を9つのカテゴリで整理します。
- 過去2〜3期分の決算書・申告書
- 最低1年分の総勘定元帳・仕訳帳
- 固定資産台帳・減価償却明細
- 試算表
- 給与台帳・源泉徴収簿
- 会計ソフトのデータ
- 各種届出書の控え
- 電子申告情報(e-Tax、eLTAX)
- 税務代理権限証書
それでは、それぞれの書類について詳しく見ていきましょう。
1:決算書・申告書(過去3年分)
決算書と申告書は、税理士変更で最も重要な書類です。最低でも「過去3年分」は準備しておくと万全です。
法人の場合は「法人税申告書および決算書(貸借対照表・損益計算書)」、個人事業主の場合は「確定申告書および青色申告決算書(白色なら収支内訳書)」が該当します。
直近2期〜3期分の決算書控えがあれば、利益推移や税務上の繰越事項(欠損金や各種残高)を確認できます。
2:総勘定元帳・仕訳帳(1年分以上を推奨)
総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)は、会社の全ての取引を勘定科目ごとに記録した帳簿です。こちらは最低でも過去1年分を準備してください。
この総勘定元帳は、全取引の詳細が残っているものであるため、税務処理の“基礎資料”となります。
総勘定元帳がないと、新税理士は個々の仕訳内容を把握できず、科目の振替や期首残高(前期繰越額)の検証が困難になってしまいます。
『勘定元帳』については、下記記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください!
【税理士変更で必須!】総勘定元帳って何?前任者が共有してくれない場合はどうする?
税理士を変更する際、新しい税理士から『まず、現在の税理士から勘定元帳を受け取ってください』と言われたことはありませんか? 総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)は税理士変更時の最重要書類の一つです。 企業の全取引を勘定科目ごとに記録した帳簿であり、新しい税理士が貴社の財務状況を正確に把握するため
3:固定資産台帳・減価償却明細
固定資産台帳とは、会社が所有する「長期的に使う資産(設備や備品など)の一覧」です。
それぞれの資産について、購入時期、購入価格、耐用年数、現在の減価償却状況などが記録されています。
新税理士には、適切な減価償却計算を引き継ぐために必要となります。
4:試算表
試算表とは、毎月の売上や経費、利益などをまとめた資料で、「今どんな業績か」を示すものです。
新税理士は最新の試算表をもらえると、直近の業績傾向(売上・経費・利益の推移)をすぐ把握できます。
引継ぎが年度途中であれば、直近の月次試算表が重要です。
試算表があることで、新税理士は期中の経営状況を把握し、今後の資金繰りや決算対策についても適切なアドバイスができるようになります。
5:給与台帳・源泉徴収簿
従業員や役員に給与を支払っている場合、給与支払の記録と源泉徴収税額の記録も必要になります。
具体的には「給与台帳」(各従業員の毎月の給与・賞与・社会保険料等の一覧)や「源泉徴収簿」(各従業員ごとの源泉徴収税額の累計表)が該当します。
年末調整関連の「扶養控除等申告書」や「給与支払報告書控え」も必要です。
6:会計ソフトのデータ
会計ソフトのデータとは、日々の取引を記録した電子データのことです。
過去にどのような記録の仕方をしていたか(どんな勘定科目を使っているか、補助科目の内訳など)を把握し、正確な申告書類を作成するために必要です。
データがあれば総勘定元帳・仕訳帳・試算表など一通りの帳簿を再出力できますので、準備するようにしましょう!
7:各種届出書の控え
税務署や自治体に提出した届出書の控え(受領印が押されたコピー)も引継ぎ対象です。
代表的なものとして以下があります。
- 青色申告承認申請書
- 消費税課税事業者選択届出書
- 消費税簡易課税制度選択届出書
- 減価償却方法の届出書
- 棚卸資産の評価方法の届出書
- 給与支払事務所等の開設届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
これらの控えがあると、新税理士は「その会社がどんな税制を適用しているか」をすぐに把握できます。
8:電子申告情報(e-Tax、eLTAX)
電子申告を行っている場合、e-TaxとeLTAXの利用者識別番号(ID)およびパスワードを新税理士に引き継ぐ必要があります。
これがないと、新税理士は改めてIDを取得するか、代理送信のための手続きを取る必要が生じます。
特に電子申告が義務化されている法人の場合、IDとパスワードがないと申告期限に間に合わないリスクがあります。
9:税務代理権限証書
税務代理権限証書は、新しい税理士が「この納税者の税務代理人になりました」と税務署へ届出するための書面です。
これを提出しないと、税務署は旧税理士をまだ代理人とみなして通知を送り続けたり、新税理士が税務調査に立ち会えなかったりします。
書類が見つからない…!「再発行できるorできない」書類について

もし上記の必要書類が手元にない場合、そもそも税理士変更ができないのでしょうか?
ここからは、書類が見つからない場合の対処法を解説します!
税務署で「再発行できる書類」は?
基本的に、税務署や自治体に提出したことのある書類は、一定期間内であればコピー等を再入手できます。
①:「申告書控え」の再取得する方法
国税庁には過去の申告書データが保管されています。取り寄せるには、「申告書等閲覧サービス」による閲覧や、法人・個人の「情報開示請求」という手続きが必要です。
税務署窓口で所定の開示請求書を提出し、1件あたり手数料300円を支払います。
請求から入手までの期間は、おおよそ1〜2週間(内容によっては1ヶ月程度)かかります。
e-Taxで申告していた場合は、e-Tax上のデータ確認でも代用できます。
②:「届出書」を再取得する方法
青色申告承認申請書や消費税関連届出書も、税務署に「閲覧請求する」ことで写しを取得できます。
手数料は申告書と同様に1件300円で、本人確認書類を持参すれば窓口で申請できます。
逆に「再発行できない書類」と、ない場合の対処法は?
税務署等にデータがないもの、つまり事業者側で管理すべき内部帳簿類は基本再発行不可です。とはいえ、次のような代替策があります。
①:総勘定元帳・仕訳帳が無い場合
前任税理士から会計データ(または元帳PDF)を受け取れていない場合、新税理士に依頼して“推測で帳簿を再構築”してもらう方法があります。
具体的には、通帳の取引明細、請求書・領収書の保存分、売上台帳や経費精算書などあらゆる一次資料を集め、新税理士が期首残高から帳簿をつけ直すイメージです。
②:「固定資産台帳」が無い場合
固定資産の購入時の契約書や請求書から台帳を起こし直します。
市町村に提出した減価償却資産の申告書や、決算申告書の別表16(減価償却費の明細)に、税務上の減価償却資産が記載されている場合があるため、参考資料として活用できることがあります。
それらを活用して新税理士に台帳を再作成してもらいましょう。
③:「給与台帳・源泉徴収簿」が無い場合
給与計算を社労士事務所等に外注している場合は、そちらからデータをもらえる可能性があります。
従業員ごとの給与明細や源泉徴収票の控えを、最低でも当期分(1年分)は集めたいものですから、もし無い場合は外注先に確認するようにしてください。
【よくある質問】会計ソフトのデータは復元できますか?
マネーフォワードクラウドやfreeeなどクラウド型なら、自社側でもアカウントを持っていればデータは消えません。
新税理士にそのクラウド上で閲覧ユーザーとして招待するだけでOKです。
弥生会計などデスクトップ型の場合は、バックアップデータ(.YBKなど)をもらい、新税理士が同じソフトで開きます。
新税理士が別ソフト派だったりすると、CSV形式で仕訳データを書き出して他ソフトにインポートする方法を検討します。
前任がデータを削除してしまった場合、クラウドなら提供会社に事情を話せば一定期間内なら復元できる可能性があります(freeeでは30日以内ならゴミ箱から復元できる)。
ケース別で注意すべきポイントは?

ユーザーの状況に応じて、注意すべきポイントが異なります。
ここでは、主な3つのケースについて解説します。
法人と個人事業主で書類は違う?
基本的な引継ぎ書類は共通ですが、申告書類の種類に違いがあります。
法人の場合
- 法人税申告書一式
- 地方税(都道府県民税・事業税)申告書
- 消費税申告書
法人の場合は、国税・地方税それぞれに申告書が必要です。
また、設立関連書類(定款、登記簿謄本など)も引継ぎ時に提示すると新税理士が会社概要を把握しやすくなります。
個人事業主の場合
- 所得税の確定申告書
- 青色申告決算書(または収支内訳書)
- 消費税申告書(課税事業者の場合)
個人事業主の場合は、所得税の確定申告書と青色申告決算書(白色申告の場合は収支内訳書)が基本です。
法人に比べて提出書類はシンプルですが、青色申告と白色申告で必要な書類が異なる点に注意しましょう。
会計ソフトが変わる場合の注意点は?
会計ソフトが変わる場合でも、過去データ自体は必要です。
「ソフトが違うならデータはいらない」と誤解する方もいますが、それは誤りです。
弥生会計から他ソフトへ
弥生会計のバックアップファイル(.YBK)を旧税理士から受け取ります。
新税理士が弥生環境で開いてCSV形式で仕訳データを出力し、新しいソフトにインポートする方法が一般的です。
マネーフォワードやfreee(クラウド)から他ソフトへ
クラウド会計ソフトの場合、新税理士をユーザーとして招待するのが最も早い方法です。
別のクラウド会計に乗り換える場合は、仕訳データをCSV形式でエクスポートして新しいソフトにインポートします。
共通の注意点
どのソフトを使う場合でも、データ移行時には期首残高が正しく引き継がれているか、新旧両方で必ず検証しましょう。
期首残高がズレていると、その後の決算書や申告書の数字すべてが狂ってしまうからです。
期の途中で変更する場合の注意点は?
決算期の途中で変更する場合、新旧の担当期間の切り分けと情報共有がポイントです。
まず、どのタイミングで区切るかを事前に決め、新旧税理士双方に共有します。
例えば「○月分までを旧税理士が担当し、○月以降を新税理士が担当する」と明示します。
次に、旧税理士に交代時点までの試算表や元帳を締めてもらうのが理想です。
例えば9月末で変更なら、1〜9月の試算表を作成してもらい、これが引継ぎ資料として新税理士に渡れば、10月からの帳簿をスムーズに開始できます。
トラブルが起きたらどう対処する?
税理士変更では、トラブルが発生することもあります。ここでは、代表的なトラブルと対処法を解説します。

旧税理士が書類を返してくれない場合は?
書類の返却を依頼しても応じてもらえない場合でも、対処法があります。
まず知っておくべきは、書類の所有権は税理士事務所ではなく顧問先にあるという原則です。
税理士には、委任契約終了時に預かった書類を返却する義務があります(民法上の委任契約に基づく返還義務)。また、税理士職業倫理からも、顧問先からの求めがあれば速やかに返却すべきです。
具体的な対処法としては、まず書面(メールでも可)で「○○の書類を○年○月○日までにご返却願います」と具体的なリストと期限を記載して依頼します。
それでも応じてもらえない場合は、内容証明郵便で書類の返却を正式に請求します。
内容証明でも返却されない場合は、税理士が所属する税理士会に相談しましょう。
税理士会には会員の指導・懲戒権限があり、相談窓口で助言を受けることができます。状況によっては税理士会が仲介に入ってくれる場合もあります。
書類返却拒否は職業倫理に反する行為として問題視されるため、多くのケースはこの段階で解決します。
電子申告のパスワードを教えてもらえない場合は?
電子申告のID・パスワードは本来納税者本人のものです(税理士が代理送信用に別途取得している場合もあります)。教えてもらえない場合でも、以下の対処法があります。
まず、税務署の窓口に行きIDと初期パスワードの再交付を受けることができます。
利用者識別番号は申請すれば教えてもらえますし、パスワードは初期化してもらえます。
どうしてもIDが不明なら、新税理士が税務代理権限証書を提出した上で、自社のe-Taxアカウントを新規取得し直す手もあります。
eLTAX(地方税)も各自治体に問い合わせればID再発行できます。
もし旧税理士が頑なに教えないなら、税理士会に相談しましょう。
税理士変更をご検討中なら、ぜひイデア総研にご相談ください!

税理士変更の書類準備について、ここまでさまざまな情報をお伝えしてきました。
- 決算書・総勘定元帳・固定資産台帳など9種類の書類が必要
- 書類紛失時は税務署での再発行や新税理士による再構築で対処できる
- 法人/個人、会計ソフト変更、期中変更など、ケース別の注意点を押さえる
- 旧税理士が返却に応じない場合は、内容証明→税理士会への相談で対処する
とはいえ、「自分でやるのは不安」「プロに任せたい」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。
イデア総研税理士法人は、幅広い専門家(税理士・公認会計士・社労士・行政書士・診断士など)が在籍しており、書類の準備からその後の経営相談までワンストップで対応させていただきます。
- 変えたいけれど、手続きが不安…
- そもそもどんな資料が足りてないのかがわからない…
- 新税理士さんにすべてお願いできたら…
上記のようなお悩みなどございましたら、ぜひ一度ご相談いただければと思います。