投稿日:2025.09.01 最終更新日:2025.09.01
【スタートアップ企業必見!】起業における“税理士選びの重要性”をプロが解説!

スタートアップの税理士選び、悩みますよね。
料金や実績、相性など、考えるべきことが多くて、何が最適な答えなのか分からなくなっていませんか。
実は、多くの経営者が最初に見落としてしまう、後悔しないための重要な視点があります。 それは、会社の「成長ステージ」によって、選ぶべき税理士の正解は変わる、ということです。
この記事では、900社以上の企業を支援してきたイデア総研が、あなたの会社の「今」と「未来」に本当に合った税理士パートナーを見つけるための、具体的な知識と選び方のすべてを解説します!
- スタートアップに税理士は本当に必要か?
- 依頼するならいつがベストなタイミングか
- 先輩経営者が陥った3つの間違いとは
- 後悔しないための具体的な4つの選定基準

南 彰悟
1986年3月6日生まれ。大分県出身。早稲田大学を卒業後、25歳で公認会計士試験に合格。大手監査法人に8年程勤める。2020年税理士登録。イデア総研税理士法人の副代表として活動する。
そもそも税理士とは?4つの主要な業務内容を解説
「税理士」と一言でいっても、具体的にどんな業務を依頼できるのか、はっきりと知らない方も多いのではないでしょうか。
この章では、税理士が提供する主な業務内容を4つに分けて、分かりやすく解説します。 これを読むことで、後の「選び方」がより具体的にイメージできるようになります。
1. 「税務書類の作成・申告」の代行
税理士の最も基本的な役割は、会社の利益にかかる税金を報告する法人税申告書や、売上の消費税を報告する消費税申告書など、複雑で専門知識が必要な書類の作成と、税務署への提出を代行してくれることです。
日々の取引を帳簿に記録し、年に一度の決算で申告書を作成する一連の作業は、専門家でなければ非常に時間がかかります。 この煩雑な手続きを専門家に任せることで、経営者は本来集中すべき事業活動に時間を使うことができます。
また、税理士が署名・捺印した申告書は、税務上の信頼性が格段に高まります。 金融機関から融資を受ける際など、対外的な信用力が向上するという副次的なメリットも見逃せません。
2. 日々の「記帳や決算業務」の代行
日々の領収書や請求書の整理から帳簿への入力(記帳)、そして年度末には会社の成績表ともいえる決算書を作成するなど、会計業務全般のサポートも依頼できます。
特に創業期のスタートアップでは、経理担当者を雇う余裕がないケースがほとんどでしょう。 経営者自身が慣れない会計処理に時間を取られるのは、大きな機会損失になりかねません。
専門知識が求められ、特に手間のかかる決算業務をまとめて依頼することで、経営者は会計に関するストレスから解放され、安心して事業の成長に専念できる環境が整います。
3. 「税金」に関する相談と節税提案
税理士は、日々の経営で生じる税金に関する疑問に答えてくれる、頼れる相談相手です。
「この経費はどこまで認められるのか」「来年から始まるインボイス制度にどう対応すればいいのか」といった具体的な質問に対して、専門的な見地から的確なアドバイスをもらえます。
さらに、ただ質問に答えるだけでなく、会社の状況に合わせて、法律に則った適切な節税方法を積極的に提案してくれるのも重要な役割です。 決算が近づいてから慌てるのではなく、年間を通じて税務リスクを管理し、計画的な節税対策を実行する手助けをしてくれます。
4. 「資金調達や経営」に関する相談
多くのスタートアップ企業にとって、税理士が真価を発揮するのがこの領域です。
税理士は、税務の専門家であると同時に、会社の財務状況を最も深く理解している外部の専門家でもあります。 そのため、日本政策金融公庫などからの創業融資を受ける際の事業計画書の作成支援や、財務データに基づいた客観的な経営アドバイスなど、税務の枠を超えた相談にも乗ってもらえます。
企業の数字を深く理解しているからこそできる、説得力のある事業計画のブラッシュアップや、資金繰りに関するアドバイスは、事業の成長を大きく後押ししてくれるでしょう。 このように、税理士は単なる「作業代行者」ではなく、経営者の最も身近な「パートナー」になる存在です。
スタートアップ経営者が会社設立前にやるべき4つのこと
税理士を探し始める前に、まずは社長であるあなた自身がやるべきことがあります。
事業の根幹に関わる準備を整えておくことで、その後の税理士選びもスムーズに進み、より有意義なパートナーシップを築くことができます。
この章では、スタートアップの社長が会社設立の前に、必ず取り組むべき4つのことを解説します。
1. 事業計画を立てる
すべての始まりは、しっかりとした事業計画を立てることからです。 「何を、誰に、どのように提供し、どうやって収益を上げるのか」というビジネスの根幹を、具体的な言葉や数字で書き出してみましょう。
この事業計画書は、あなたのビジネスの方向性を定める指針となるだけでなく、後々、資金調達の場面や、税理士に事業内容を説明する際にも不可欠なものとなります。
税理士は事業計画のブラッシュアップを手伝ってくれますが、ゼロから作ることはできません。 まずはあなた自身の言葉で、事業のビジョンと戦略を明確にすることが、事業を始める上で重要です。
2. 資金計画を立てる
事業を始めるには、どれくらいの資金が必要になるのかを具体的に把握しておく必要があります。
会社設立に際し、会社のルールブックである定款を公証役場で認めてもらうための定款認証費用や、会社を法務局に登録するための登録免許税といった費用はもちろん、事業が軌道に乗るまでの数ヶ月から半年程度、仕入れや給与の支払いに充てる運転資金もリストアップしてみましょう。
自己資金でどれだけ賄えるのか、不足分はどのように調達するのか(創業融-資、助成金など)を計画します。 この資金計画も、融資を申し込む際の必須書類です。 税理士に相談すれば、事業計画と合わせて、より実現可能性の高い資金計画の策定を手伝ってもらえますが、まずは経営者自身が必要な資金を洗い出す作業が欠かせません。
3. 法人化を検討する
まだスタートアップ企業として法人化していない場合は、個人事業主として事業を始めるか、法律上の人格である「会社」を設立して法人化するかは、非常に重要な決断です。
一般的に、年間である程度の利益が見込める場合や、対外的な信用度、資金調達のしやすさを重視する場合は、法人化する方が有利になることが多いです。 一方で、設立にコストがかかり、社会保険への加入義務など、運営上の負担は個人事業主よりも大きくなります。
どちらの形態が自分の事業にとって最適なのか、メリット・デメリットを比較検討しましょう。 この点も、税理士に相談すれば、事業計画や将来の展望に基づいて、最適な法人化のタイミングや形態について具体的なアドバイスをもらえます。
4. 事業用の銀行口座を開設する
個人のお金と事業のお金を明確に分けることは、経理処理の基本です。
会社を設立する場合は法人口座の開設が必須ですが、個人事業主の場合でも、プライベートの口座とは別に、事業専用の銀行口座を必ず用意しましょう。
最初からお金の流れを分けておくことで、後の経出処理が格段にスムーズになり、税務上の信頼性も高まります。 これは、すぐにでも始められる、非常に重要な準備の一つです。
スタートアップ企業に“税理士”は本当に必要?
そもそも、なぜスタートアップに税理士が必要なのでしょうか。 リソースが限られている創業期だからこそ、「コストをかけてまで税理士に依頼する必要があるのか?」と考える方もいるかもしれません。
この章では、税理士に依頼することで得られる3つの大きなメリットを解説します。 これを読むことで、「自分にとって税理士が必要か」を判断する具体的な基準がわかります。
1. 経営者が本業に集中できるから
創業期の経営者が最も集中すべきなのは、プロダクト開発、顧客開拓、マーケティングといった、事業のコアとなる活動です。 しかし、現実には、慣れない経理処理や税務申告の準備に多くの時間を奪われてしまいがちです。
専門知識が必要で時間もかかるこれらのバックオフィス業務を専門家である税理士に任せることで、経営者は最も価値を生み出す本業にリソースを集中させることができます。
特に人手が限られるスタートアップにとって、経営者の時間を確保することは、事業成長のスピードに直結する重要なポイントです。
2. 資金調達がうまくいきやすいから
多くのスタートアップにとって、資金調達は事業を成長させるための重要な要素です。 金融機関や投資家は、融資や出資を判断する際に、信頼性の高い財務諸表や事業計画書を求めます。
税理士が作成、あるいは監修した決算書や事業計画書は、客観性と正確性が担保されているため、社会的信用が格段に高まります。
特に、日本政策金融公庫などからの創業融資を申し込む際には、税理士のサポートがあることで、書類の不備がなくなり、審査を有利に進められるケースが非常に多いです。 税理士は、資金調達の成功確率を高める上で、重要な役割を果たします。
3. 「客観的な経営アドバイス」をもらえるから
創業期の経営者は、重要な意思決定を一人で行わなければならない場面が多く、孤独を感じやすいものです。 そんな時、税理士は会社の数字を最もよく知る外部の専門家として、客観的な視点から経営状態を分析し、アドバイスをくれる貴重な相談相手になります。
日々の取引記録が正しく入力されているかを確認するための一覧表である試算表を毎月確認し、「売上は伸びていますが、利益率が少し下がっていますね。原因を探ってみましょう」といったように、経営者だけでは気づきにくい課題を指摘してくれることもあります。
孤独になりがちな経営者にとって、数字に基づいて冷静なアドバイスをくれるパートナーの存在は、心強いものとなるでしょう。
税理士はいつから依頼すべき?3つのベストタイミング
では、具体的にいつ、税理士に依頼するのがベストなのでしょうか。
この章では、多くのスタートアップにとって最適となる3つのタイミングを、それぞれの時期に依頼する目的と合わせて解説します。 ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
1:会社設立前|後戻りできない失敗を防ぐ
結論からいうと、会社設立の準備段階から税理士に相談するのが最もおすすめです。
なぜなら、法人を設立する際に決めるべき項目(資本金の額、決算期、事業目的など)は、後々の税金の額や経営のしやすさに大きく影響し、一度決めてしまうと簡単には変更できないからです。
たとえば、資本金の額を1,000万円以上にすると、設立1年目から消費税の納税義務が発生してしまいます。 こうした「後戻りできない失敗」を避けるために、設立前に専門家のアドバイスを受ける価値は非常に大きいのです。 また、創業融資を検討している場合も、事業計画書の作成段階から税理士のサポートを受けることで、融資がうまくいく確率を大きく高めることができます。
2:会社設立後|本業に集中できる体制を築く
会社を設立した直後から、1期目の決算を迎えるまでの間に顧問契約を結ぶのも、非常に一般的なタイミングです。
この時期に税理士に依頼する最大の目的は、日々の経理業務のフローを確立し、経営者が本業に集中できる体制を早期に構築することにあります。
会社設立後には、税務署や都道府県、市町村へのさまざまな届出が必要です。 特に、税金の計算で有利な特典が受けられる「青色申告」制度を利用するために必要な「青色申告承認申請書」は、提出期限を過ぎてしまうと大きな節税の機会を逃すことになります。 こうした手続きを漏れなく代行してもらい、会計ソフトの導入支援や日々の記帳指導を受けることで、経理業務をスムーズに軌道に乗せることができます。
3:設立2〜3年後|事業をさらに成長させる
もし設立当初に税理士をつけなかった場合でも、事業が軌道に乗り始めたこのタイミングは、依頼を検討すべき重要な節目です。
売上が伸び、従業員を雇い始めると、経理業務は格段に複雑になります。 特に、年間売上が1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生し、専門家なしでの対応は非常に困難になります。
また、事業が成長し利益が出てくると、より高度な節税対策や、次の成長に向けた設備投資、新たな資金調達など、専門的な判断が求められる場面が増えてきます。 事業をさらに成長させるための経営判断を実現するために、この時期には税務だけでなく、財務戦略についても相談できるパートナーとしての税理士の存在が不可欠になるでしょう。
スタートアップが税理士選びで“やりがち”な3つの間違い
勢いで税理士を選んでしまい、後から「こんなはずではなかった…」と後悔するケースは少なくありません。
この章では、スタートアップが特に陥りがちな3つの間違いを解説します。 これを読むことで、避けるべきポイントが明確になります。
1. 料金の安さや実績の数だけで選んでしまう
最もよくある失敗が、顧問料の安さだけで税理士を選んでしまうことです。 もちろんコスト意識は重要ですが、安さには必ず理由があります。
極端に料金が安い場合、サービス範囲が記帳代行と申告書の作成のみで、経営相談や節税提案は一切含まれていない、というケースも珍しくありません。
また、「顧問先〇〇社!」といったウェブサイト上の表面的な実績だけで判断するのも危険です。 重要なのは、数ではなく「自社と似た業種や規模の会社を支援した経験があるか」です。 料金や実績はあくまで参考情報と捉え、その裏にあるサービスの内容や、自社との相性をしっかりと見極める必要があります。
2. 税理士を単なる「作業代行者」と考える
税理士を「面倒な経理作業を代わりにやってくれる人」とだけ捉えてしまうと、その価値を最大限に引き出すことはできません。 もちろん、記帳や申告の代行は重要な業務ですが、優れた税理士は、それ以上に経営に役立つ価値を提供してくれます。
経営者側が「とにかく丸投げしておけばいい」という姿勢でいると、税理士もいわれたことしかやらなくなってしまいます。 そうではなく、自社の事業の状況や将来のビジョンを積極的に共有し、経営課題を相談することで、税理士は初めて「経営パートナー」としての真価を発揮します。 節税対策や資金調達のアドバイスなど、事業を成長させるための提案を積極的に引き出す姿勢が大切です。
3. 自社の業界への理解度を確認しない
税理士にも、それぞれ得意な業種や分野があります。 たとえば、IT業界に強い税理士もいれば、飲食店の支援実績が豊富な税理士もいます。
例えば、インターネット経由でソフトウェアを提供するSaaSビジネスにおける売上をどのタイミングで計上するかのルール(収益計上基準)や、研究開発にかかった費用の一部を法人税から差し引ける国の制度(税制優遇)など、業界特有の論点を理解していない税理士では、的確なアドバイスは期待できません。
「家から近いから」「知人に紹介されたから」といった理由だけで安易に決めず、契約前の面談で、自社のビジネスモデルについてどの程度理解があるか、同業他社の支援実績はあるかなどを具体的に確認することが、ミスマッチを防ぐ上で非常に重要です。
後悔しない!スタートアップの税理士選び4つの基準
これまでの内容を踏まえ、自社に最適な税理士を見つけるための具体的な4つの基準を解説します。 この基準を使えば、面談時に何を確認すればよいかが明確になり、後悔のない税理士選びができます。
基準1:スタートアップ支援の実績と専門性
まず確認すべきなのは、あなたの会社と同じようなスタートアップを支援した実績が豊富にあるかどうかです。
スタートアップは、融資や補助金に加え、将来会社の株を決められた価格で買える権利であるストックオプションの設計や、誰から資金を調達し株式をどう配分するかの計画(資本政策)など、一般的な中小企業とは異なる特有の課題に直面します。 これらの分野に関する専門知識と経験を持っている税理士でなければ、的確なサポートは期待できません。
ウェブサイトで実績を確認するだけでなく、面談の場で「これまでどのようなスタートアップを支援してきましたか?」「資金調達のサポート実績はありますか?」といった具体的な質問を投げかけてみましょう。 自社が将来的に、証券取引所に株式を上場して誰でも売買できるようにするIPO(株式公開)を目指しているかなど、会社のステージに合わせたアドバイスができるかどうかも、重要な判断材料になります。
基準2:料金体系の明確さと費用対効果
信頼できる税理士は、料金体系が非常に明確です。 契約前に、「月額顧問料にどこまでのサービスが含まれるのか」「決算料や年末調整など、別途費用が発生する業務は何か」を書面で分かりやすく提示してくれます。 後から想定外の追加料金を請求されるといったトラブルを避けるためにも、料金の透明性は必ず確認しましょう。
ただし、単に料金が安いかどうかだけで判断してはいけません。 重要なのは「費用対効果」です。 提示された料金で、自社が必要とするサービスが十分に受けられるのか、その料金に見合う価値があるのかを冷静に見極める視点が大切です。 複数の税理士から見積もりを取り、サービス内容と料金を比較検討することをおすすめします。
基準3:社長との相性とコミュニケーションのしやすさ
税理士は、会社の最もデリケートな情報であるお金の話をする相手です。 そのため、経営者であるあなたが「この人になら何でも正直に話せる」と感じられるかどうか、人間的な相性は非常に重要な要素になります。
初回の面談では、専門用語を多用せず、こちらのレベルに合わせて分かりやすく説明してくれるか、こちらの話を親身になって聞いてくれる姿勢があるか、といった点に注目しましょう。 また、レスポンスの速さや、チャットツールやWeb会議といったコミュニケーション手段に柔軟に対応してくれるかも、スピード感が求められるスタートアップにとっては見逃せないポイントです。
基準4:事業の成長を見据えた提案力
受け身でいわれたことだけをこなす税理士ではなく、会社の未来を一緒に考え、積極的に提案をしてくれる税理士を選びましょう。
優れた税理士は、現状の課題解決を手伝ってくれるだけでなく、「来期はこのような節税対策が考えられます」「この補助金が使えそうですよ」といったように、経営にプラスになる情報を先回りして提供してくれます。
面談の際に、「これまでお客様にどのような経営提案をされてきましたか?」と尋ねてみるのも良いでしょう。 具体的なエピソードを交えて、顧客の成長をどうサポートしてきたかを語れる税理士は、あなたの会社の成長にも貢献してくれる、頼れるパートナーになる可能性が高いです。

ここまで紹介したように、税理士が「業務を代行すること」は当たり前。
当社ではこれまで業界問わず900社以上の支援実績から、その業界で必要な業務支援はもちろん、「なぜ今これをやるべきなのか?」「企業後になぜこの支援を重要視すべきなのか?」を詳しくご説明しながら進める“コンサルティング型税務顧問”を行っています。
- 契約したけど、年に数回しか担当とやりとりができない…
- そもそも代自社の業界に詳しくない担当がついた…
- ITやDX化を見据えた「未来の支援」がない…
など、契約した後に起こってしまいがちな「不満」を徹底的に“なくす”ご支援を行います。
また企業時に必要な「借り入れ」や「節税対策案」なども、元大手銀行・国税出身のサポーターが多く在籍していますので『これからどんどん事業を成長させていきたい!』という社長様をサポートいたします。
スタートアップの税理士はどこで探す?3つの方法を比較
どのような基準で選ぶべきかがわかったら、次は実際に税理士を探してみましょう。 ここでは、スタートアップが税理士を探すための代表的な3つの方法を解説します。
1. 投資家や先輩経営者からの紹介
もしできるのであれば、最も信頼性が高いのがこの方法です。特に、あなたの会社のビジネスモデルや成長ステージを理解しているベンチャーキャピタル(VC)や、すでに税理士と良好な関係を築いている先輩経営者からの紹介であれば、ミスマッチが起こる可能性は低いでしょう。
信頼できる第三者からの紹介であるため、実績や人柄に安心感があり、自社の業界やビジネスに理解のある専門家に出会える確率が高いのが大きな利点です。
ただし、この方法には、そもそも紹介してくれる人脈が必要という前提があります。また、紹介してもらった手前、もし相性が合わないと感じた場合でも断りにくいという側面も考慮しておく必要があるでしょう。
2. スタートアップに特化した紹介サービス
インターネット上には、税理士を紹介してくれるマッチングサービスが数多く存在します。その中でも、「資金調達に強い」「IT業界専門」など、特定の分野に強みを持つ税理士を検索できる、スタートアップ向けのサービスを利用するのも一つの手です。
こうしたサービスを使えば、複数の税理士の情報を効率的に集めて比較検討でき、自社のニーズに合った専門家をピンポイントで探しやすいという利点があります。
一方で、登録している税理士の質はサービスによってばらつきがある点には注意が必要です。また、紹介会社の担当者を介してやり取りするため、実際に会うまで税理士との相性が分かりにくい場合もあります。
3. 税理士会の無料相談や検索システム
各都道府県の税理士会では、無料で税務相談ができる窓口を設けており、ウェブサイトで所属税理士を検索することもできます。公的な機関が運営しているため、信頼性が高く、気軽に専門家のアドバイスを受けられるのが魅力です。
ただし、ここで出会える税理士が、必ずしもスタートアップ支援に強いとは限りません。また、あくまで税務相談がメインであり、顧問契約を前提としたマッチングを目的としていないケースが多いことも理解しておきましょう。
最適な税理士選びがスタートアップの未来を拓く
ここまで、スタートアップの税理士選びについて解説してきましたが、最適なパートナーを見つけることは、単なる経理のアウトソーシング先を探す以上の意味を持ちます。 会社の成長ステージに合った税理士は、事業の未来を共に創る、重要なパートナーになるからです。
この記事でお伝えした、税理士選びの重要なポイントを振り返ってみましょう。
- 税理士は税務・会計の代行だけでなく、資金調達や経営の相談役にもなる。
- 後戻りできない失敗を避けるため、会社設立前から相談するのが理想。
- 料金の安さだけでなく、「スタートアップ支援の実績」や「提案力」で判断する。
- 長期的な関係を築く上で、経営者自身との「相性」も大切にする。
あなたの会社の未来を左右する重要な決断だからこそ、この記事で紹介した基準を参考に、ぜひ複数の税理士と実際に会って話をしてみてください。 そして、「この人なら、自社の未来を任せられる」と心から思えるパートナーを見つけることが、事業成長の大きな一歩となります。